初夏の林縁を彩る白い葉っぱ
初夏にやたらと目立つ葉っぱのお話
早速ですが、この写真をご覧ください。
6月くらいに長野県の山沿いの道を走っているとやたらと白い葉っぱが目立つこんな木があります。ところどころに白い葉が混じり、花かと見間違えるくらいです。
近くで見るとこんな感じです。
ここまで寄るとお花じゃないのも分かるので今度は病気かと思えたりしますが、全くもって正常な葉です。
マタタビという生き方
この木はマタタビと言います。ネコにマタタビは聞いたことがあるかもしれません。実際にネコはマタタビに含まれている成分によって興奮状態になりますが、これはネコの発情期の尿に類似したにおい成分がマタタビに含まれているからで、ネコ科のライオンやトラにも同様の効果がありますが、未成熟な子猫には効果がないようです。
ではなぜマタタビは正常な葉にこのような白い部分があるのでしょうか。
最初にも書いたように、遠くから見ると花が咲いているようにも見えます。マタタビは葉の裏に小さな花を咲かせますが、あまり目立たないので、葉を白く変化させ訪花昆虫を増やすという作戦なのです。
どうやって葉を白くしているのかというと
①葉の表面に白い色素を作る
②カビの仲間をこの時期だけ発生させる
③空気の層を作り、乱反射させている
正解はどれでしょう?ちなみに夏の時期になると葉はまた緑戻ります。花の写真からも分かるように葉の裏から見ると白い部分は見えません。
正解は③です。葉の内部に空気の層を作り乱反射させて白く見えています。雪が白いのやシロクマが白く見えるのと同じ原理ですね。
花が終われば実がつきます。マタタビの実は滋養強壮の効果があると言われ、歩き疲れた旅人がマタタビの実を食べたところたちまち元気になり、また旅が続けられたのでマタタビという由来の説があるくらいです。マタタビに出来た虫こぶは薬効があり木天蓼と呼ばれています。
ただ夏になると葉が目立たなくなってしまうので、やはりこの時期に目星をつけておきて取りに行くのがいいでしょう。
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