ギンリョウソウ 光合成をやめた植物
薄暗い森の中でギンリョウソウがひっそりと咲き始めました
全身が真っ白で10センチくらいのかわいい植物、ギンリョウソウがあちらこちらで咲き始めています。漢字で表記すれば銀竜草で、確かに茎には鱗にも見える小片がついています。
別の呼び名はユウレイタケで、こちらはキノコの仲間と思った人がつけたのでしょうか。しかしギンリョウソウはイチヤクソウの仲間に分類される植物なのです。
光合成をやめて腐生という生き方へシフト
竜の鱗のようにも見えるものは葉っぱの名残なので、ギンリョウソウの祖先はちゃんと葉っぱで光合成をしていたということなのですが、現在は葉緑素を全く持たず(白いのはその為)、腐生という生き方をしています。
腐生とは生物の死体や生産物を分解し、栄養を吸収する生き方を言うのですが、実はギンリョウソウ自身は分解者ではないのです。
ギンリョウソウの根はアメ色で丸く、菌類が共生する菌根というもので、この根に菌糸誘い込み、菌糸から栄養分を吐き出させてそれを消化するという少し変わった栄養法なのです。
ギンリョウソウの花
花はつり鐘型の花が横向きにつき、花弁や雄しべ、雌しべもちゃんとあります。においはほとんどないのですが、蜜は出してマルハナバチなどが訪れては受粉をしています。花が終わると液果と呼ばれる水分を含む果実(漿果ともいう)が出来ます。その中には0.001㎎ほどの小さい種が5000個程入っていますが、普通このように小さい種をたくさん作る植物は風で種をまき散らすため、乾いた種を作ることが多いのですが、ギンリョウソウは変わっています。
近年の調査ではモリチャバネゴキブリがギンリョウソウの散布に協力しているとい研究結果が発表されました。ゴキブリは実を食べるのですが、とても頑丈で消化できずにフンとして散布しているようです。
生態も不思議で見た目にもインパクトのあるギンリョウソウ。ぜひ会いに森へ出かけてみてください。
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