チャツボミゴケと鉄鉱石
チャツボミゴケってご存知ですか?
先日、群馬県中之条にあるチャツボミゴケ公園に行ってきました。お目当ては国内どころか東アジアに限っても最大級のチャツボミゴケの大群落です。
チャツボミゴケは世界で一番強酸性の硫黄を含む水辺に暮らすだいぶ変わったコケで、火山の近くや温泉の有名なところに多いです。
前述の中之条は温泉で有名な草津エリアにありますし、僕の住む茅野の明治温泉(御射鹿池周辺)にも生育しています。
チャツボミゴケ公園の群生地は穴地獄と呼ばれ、円形劇場型の窪地に川が流れ、そこにチャツボミゴケが暮らしています。ここは群馬鉄山と呼ばれた国内随一の褐鉄鉱の鉱床の露天掘りの跡地です。当時は2,000人以上の人が働き鉄道まで敷かれていました。公園の駐車場からは遊歩道もありますし、園内を無料のバスも巡回しており、気軽に穴地獄までは行けます。
現在でも鉄鉱石が生成されている・・
案内看板の中央には現在でも鉄鉱石が生成されていると書かれています。いやいや、鉄鉱石ってこんなところで作れるんでしたっけ?
海底で出来た鉱床が隆起して地上にあるのかと勝手思い込んでいたので調べ直してみました。
すると出てきたキーワードがバイオミネラリゼーションでした。
バイオミネラリゼーションとはバイオ(生物)がミネラル(鉱物)を作る反応のことで、たとえばアコヤ貝が真珠を作ったり、イネの仲間が葉にガラス質のプラントオパールを作ったり、歯や骨もリン酸カルシウムなので一例と言えます。
なんとここではチャツボミゴケが鉄鉱石を作っていたのでした。コケから鉄とは驚きです。
バクテリアの働きにより体内外に鉱物を作っていき、何万年もかけて鉄に変わっていくそうです。
諏訪鉄山
僕の住んでいる茅野にもチャツボミゴケが生育している話を最初にしましたが、実はその周辺は諏訪鉄山という褐鉄鉱の産地であり、当時は線路まで敷かれた鉄山でした。ここまで来ると想像に難くないですが、ここもチャツボミゴケが鉄に変わってきたという論文を発見できました。規模は中之条に比べれば大きくはないですが、おしどり隠しの滝周辺でチャツボミゴケも見られますし、周辺では遺構も見ることが出来ます。また茅野駅にあるSLは諏訪鉄山鉄道のもので、今回初めて知りました。
生き物の事も地域の事もまだまだ学ぶことがたくさんあり、もっとあちこち出かけないとですね。
草津や茅野に出かけることがあればぜひお立ち寄りください。
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