湯の丸高原のレンゲツツジ群落
国の天然記念物のレンゲツツジ群落
長野県東御市と群馬県嬬恋村の県境にある湯の丸高原には一目60万株とも90万株とも言われるレンゲツツジの群落が広がっています。しかし、昔より規模も花の付き方も減少傾向にあります。
レンゲツツジとウシの関係
湯の丸だけでなく日本各地でレンゲツツジの有名なところは牛など家畜の放牧地や、最近では二ホンジカの増加している場所など、大型草食獣の採食圧がかかっている場所がほとんどです。
このレンゲツツジという植物は低木類なので、あまり大きくなりません。さらに光がたくさん当たらないと花をつけないので、枝葉が生い茂るような森林の中にはあまり育ちません。その為、牛や馬、シカなどが植物をたくさん食べて草原のようになっている環境を好みます。またレンゲツツジ自身には毒があるため、草食獣もほとんど食べません。
放牧数の減少と保全活動
湯の丸高原では最盛期には400頭ほどの放牧がありましたが、現在では20頭ほどに減少しています。そのため牛が幼木を食べきれず、徐々に森が成長してきたので、そういった場所ではレンゲツツジは見られないか、花を咲かせない状況になってきています。
そこで近年では地域の団体が協力して樹を切ったり、草を刈ったりしてレンゲツツジに光を当てる森作りなどの活動を行なっています。また信州大学と連携を取りながら、日陰と日向ではどれくらい花序に違いがあるのかなどのモニタリング等も行なっています。
赤いお花の秘密・・
赤いお花はなぜ赤いのでしょうか?例えばイヌやネコなど多くの哺乳類は赤い色は見えません。アゲハチョウの仲間は赤が良く見えると言われており、ツツジの仲間はチョウに花粉を媒介してほしく赤系の色をしており、尚且つストローのような口吻を持っているチョウが蜜を吸えるような花の形とそれでも花粉をつけることが出来る雄しべを持っています。
赤く見えるのは、太陽光の中で赤だけを反射しているということです。たとえば深海魚にキンメダイという魚がいますが、深い海の底では光の波長の中で赤の光が吸収されてしまいます。ということは全身真っ赤で目立ちそうですが、赤い光が届かない深海では赤い体は見えないということになります。すごい隠蔽力ですね。
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